仕入たものが全部は経費にならない?~棚卸資産とは~
スポンサーリンク
仕入れたものを全部経費で落としていると税務調査で思わぬ指摘を受けることにつながります。在庫というものは経費で落ちないのです。今回は在庫の経理「棚卸」についてみていきましょう。
仕入たものが全部は経費にならない?~棚卸資産とは~
仕入れは世間一般でも使う言葉ですが、会計では仕入れと経費の関係をしっかり理解することが大切です。
「情報を仕入れる」などという言葉があります。
会社経営では仕入れは商品などを購入した際に使う言葉です。
簡単にいうと「仕入れ」=「経費」です。
仕入れて残ったものを在庫といいます。
この在庫は会社の資産です。
つまり、「仕入れ」=経費 → 残ったもの=「在庫(商品)」となります。
売れた分だけが経費になって、残ったものが資産(商品)になります。
経営者が思っているものだけが商品ではない
会計や税務では、通常の在庫(商品)と思っているものだけが商品ではないのです。
もっと広い範囲までを在庫として認識していきます。
会計や税務では、在庫のことを棚卸資産と呼びます。
棚卸資産とは、法人税法2条第20号で次のように定められています。
「商品、製品、半製品、仕掛品。原材料その他の資産で棚卸をすべきものとして政令で定めるもの(有価証券及び短期売買商品を除く)をいう」
これだけを見ても、なんとなく範囲が広そうだなとわかります。
通常は、売るためのもの=商品という認識になりますが、もう少し範囲を広く定義しています。
政令で定めている部分を見ていきましょう。
① 商品または製品(副産物及び作業くずを含む)
② 半製品
③ 仕掛品
④ 主要原材料
⑤ 補助原材料
⑥ 消耗品で貯蔵中のもの
⑦ 上記に掲げる資産に準ずるもの
一般的には、在庫といわれると①商品または製品と④主要原材料くらいをイメージしてしまいます。
実際には、もっとたくさんの範囲まで在庫として管理する必要があるのです。
スポンサーリンク
棚卸資産の判断を間違うと税務調査で思わぬ出費に!
先ほどの棚卸資産は、購入した時に会社は経費として処理しています。
例えば、
商品を購入した場合 (仕入高)/(買掛金)
材料を購入した場合 (材料仕入高)/(買掛金)
消耗品を購入した場合(消耗品費)/(未払金)
このように、残っていれば棚卸資産になるものを購入した段階では経費として処理をしているのです。
期中で経費として処理していたものを、在庫(棚卸資産)として経費から資産に振り替えることが必要になるのです。
この棚卸資産としての処理をしなければ、会社の経費が多く計上されていることがわかります。
特に、税務調査ではこの在庫が経費のままになっていないかを必ずチェックされます。
使っていない分や、販売していない部分は在庫として資産にしていなければいけないのに、経費になっていると税務調査で認められないことになります。
つまり、経費が否認されてしまうために、利益がでてきます。
利益が出れば税金が発生するということになり、税務調査で追徴税額が出てきてしまいます。
棚卸資産として在庫管理をしなければいけない範囲を理解することで、在庫をめぐる税務トラブルを避けていきましょう。
棚卸資産に含まれるものの具体例
棚卸資産が重要なことがわかっても、いったい何が棚卸資産になるのかがイメージできません。
棚卸資産になるものの具体例を見ていきましょう。
① 商品または製品
商品や製品とは、一般的なイメージの仕入れて売るものや、自社で製造した完成品が該当します。
不動産販売業の場合であれば、土地も棚卸資産になります。
② 半製品
本製品とはそれ自体では、完成品ではいもので、他の部分品となるものをいいます。
③ 仕掛品
仕掛品とはまだ製品や商品になる中途のものをいいます
④ 主要原材料
主要原材料とは、製品の中に占める材料のうち主要なものをいいます。メインの材料です。
⑤ 補助原材料
補助原材料とは、劣化資産と呼ばれるものです。
劣化資産とは、生産設備の本体を構成するものではありませんが、それと一体となって繰り返し使用される資産で、数量的に減耗・質的に劣化するものをいいます。
具体的には、冷媒・触媒・熱媒などです。
⑥ 消耗品で貯蔵中のもの
消耗品で貯蔵中のものとは、例えばコピー用紙・トイレットペーパーなど消耗品で将来的に使用するために保管しているものをいいます。
自社にあるものだけが棚卸資産ではない!
棚卸資産に該当するものは、商品や製品など様々なものがあります。
これをみると、自分の会社内の事務所や倉庫・店舗にあるものをイメージしてしまいます。
ところが、会社内になくとも棚卸資産として管理していなければいけないケースもあるのです。
例えば次のようなケースが該当します。
① 委託販売をしている場合で、受託者に預けている場合
委託販売を自社が行っている場合、商品を受託者に預けて販売してもらいます。
つまり、自社に在庫の商品がないことになります。
検品をしても、会社内にない在庫が受託者の手元にあることになります。
② 商品を発注しているが、会社に届いていない場合
会社に届いている請求書には、発注日時点で記入されているケースがあります。
会社は請求書をもとに、仕入れなどの経費処理をしていきます。
ところが、会社の倉庫や店舗で実際の在庫を数えても届いていません。
これでは、経費処理だけがされていて棚卸資産の計上が漏れていることになってしまいます。
まとめ
仕入れた商品などでも、販売していないものは棚卸資産として経費から除く必要があります。
基本的には、在庫になるものが棚卸資産ですが、商品以外の資産でも、在庫管理をしなければならない資産に注意しましょう。
店舗や倉庫などにあるものだけを検品しても、在庫から漏れてしまうことがあるので注意しましょう。
税務調査では、在庫が正確かどうかを中心に調査されるので在庫に関する知識をつけておきましょう。
税務調査での指摘が多い項目などに詳しい税理士さんに事前に相談してみてはいかがでしょうか?
スポンサーリンク