帳簿上の現金と実際のキャッシュがずれたときはどうすべきか?

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帳簿上にたくさんの現金がある会社の決算書をみることがあります。税務署や銀行はそんな風に見ていません。「現金の管理も帳簿もしっかりできない会社だな」と思われてしまいます。帳簿上の現金と実際の現金がずれたときどうしたらよいかを見ておきましょう。

帳簿上の現金と実際のキャッシュがずれたときはどうすべきか?

今期は頑張ったと思ってみるのは「売上高」と「利益」だけという経営者は案外多いものです。

損益計算書と貸借対照表のうち、損益計算書ばかりを気にしてしまうのです。

特に経営者自ら経理をしている場合、利益にばかり目が行っていませんか?

個人事業も法人も利益が大きくなれば税金が増えます。

そのため経理を進めていくと気になるのが経常利益や営業利益などの「利益」です。

銀行融資を受けたいと思って銀行や国金に相談にいったら「社長。この現金何ですか?」と指摘されて初めて気が付いた方もいらっしゃると思います。

税金の心配は利益を中心にしてしまいますが、会社の資金繰りや税務調査対策を考えると「現金管理」をしっかりとしておかなければなりません。

ポイント1:帳簿上の現金と実際の現金がズレる理由を知っておくこと

帳簿上の現金と実際の現金がずれる理油は簡単です。

①こまめに領収書・レシートをもらわなかった

②事業の財布と個人の財布を混同していた

③領収書やレシートなどをもらったが保存できなかった

④領収書をもらえない出費の記録ができなかった

⑤毎日の経理ができなかった

税務調査が入ると「日々の経理ができていないほうが悪い」といわれてしまいます。

特に青色申告の場合には日々の取引を記録することが求められるので「おっしゃる通り」ということになってしまいます。

しかし、こんな簡単なことが実に難しいのです。

たった5つのことですが、プレイングマネージャーの経営者の場合これを完璧にこなすことは無理があるかもしれません。

ポイント2:現金のずれを起こさないカード活用

現金の領収書をなくしてしまうことが一番のデメリットです。

そこで、クレジットカードを活用して支払いの事実を確保しましょう。

「少額だから現金で・・・」という領収書が無くなっているのです。

1枚1枚は少額でも積もり積もると大きな金額になります。

さらに少額の領収書の間に高額な領収書も入ってしまい、一緒に領収書が無くなってしまっているのです。

クレジットカードを効果的に使っていくと2つのメリットがあります。

クレジットカード利用メリット①:領収書がなくとも支払い事実が残る

税務調査の際に「払ったはず」といっても支払いの事実がなければ認められません。

判例をみても「立証責任は国側にあるものの領収書などの証拠資料は納税者側のほうが用意することは容易」という判断がされています。

つまり、経費が増えるなど納税者にとって有利な資料は納税者側で保管していないのが悪いということになってしまうのです。

クレジット明細の利点としては「お店側に支払った事実が残る」ということです。

ただし、これは支払いの事実がわかるだけで万能ではないので注意しましょう。

「なにに使ったのか」は次のように対処しておきましょう。

・クレジット明細にメモ書きする

・領収書をもらって保管しておく

※消費税の本則課税の人は領収書も保存義務があるのでしっかりと領収書ももらいましょう。

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クレジットカード利用メリット②:会計処理の効率化が図れる

最近話題のクラウド会計というものを使う場合、クレジットカード利用が効果的です。

クレジットカードの情報をクラウド会計で自動的に会計ソフトに取り込むことができます。

日々の経理をクレジットカードを利用することによって自動的に経理させることができるので、経理が滞らなくなります。

クレジットカード利用メリット③:いくらつかったかの支払い管理が可能

毎日コツコツと出費を重ねている場合、経理が滞ると「いくら使った」のか「何に使った」のかもわからなくなります。

経費になるものだけにお金を使っていなくとも気が付かないまま進んでしまいます。

クレジットカードを使うことによって毎月の引落金額で「どれだけ使った」かを管理できます。

明細をチェックすることで「いつ・いくらつかったか」を定期的に確認できるので管理が容易になります。

ポイント2:帳簿上の現金と実際の現金がズレてしまった場合~個人事業編~

個人事業で事業の帳簿の現金と実際の事業用の現金がずれてしまった場合には次のように対処します。

①飲食店などのレジ金がずれている場合

釣銭の渡し間違いなどが原因の場合には、雑費や雑損失として現金差を経費で落としてしまいます。

ただし、この金額が数万円など大きくなる場合には簡単に落としてしまってはいけない可能性があります。

日々の現金管理をしていて「この日にずれた」ということが特定できなければ、客観的に経費性を認識しにくいためです。

実際にあった現金がなくなってしまったという損失ではなく、適当に経費を作ったと思われてしまうリスクがあります。

このような場合には税理士さんに相談して判断をしていきましょう。

②事業用の現金の管理事態をしていない場合

事業主の財布と会社の財布が一緒になっているパターンです。

この場合にはもともと現金を管理していません。

支払ったものの中に「事後湯に関係のあるもの」と「事業に関係ないもの」が混在しています。

全てを支払った後が現金になっているので、経費に関係あるものだけを経理すると、事業に関係ないものの支払い分だけ現金が残ります。

つまり、現金が多くなっている原因は生活費ということです。

このケースでは合わない現金分を「事業主貸」という科目で処理します。

ポイント3:帳簿上の現金と実際の現金がズレてしまった場合~法人編~

法人で事業の帳簿上の現金と実際の会社の現金がずれている場合には深刻になります。

個人事業主の場合には、個人事業主は自分自身でしたが、法人の場合には社長と会社は別人格(他人)ということになります。

社長の財布と会社の財布は別物なのです。

会社の現金がなくなっているということは社長が勝手に使ったという可能性があるのです。

個人事業を法人化した場合には、昔の感覚のまま会社の現金と個人の現金が同一と思っているかもしれませんが明確に分けなければならないのです。

この場合には、「役員貸付金」という科目を使って社長への貸し付けとして処理します。

後日社長からしっかりと返済してもらって「役員貸付金」を減らしていきます。

もしも社長の生活費が不足した結果の場合には、社長の役員報酬を改定しなければ「役員貸付金」が膨らみます。

最初から役員報酬の設定額が少なすぎたことが原因となっていることがあります。

会社の現金が合わない場合には税理士さんに相談して今やるべきことと長期的に返済していくプランを作ってもらいましょう。

まとめ

事業用の現金と個人の現金をしっかり分けることは非常に難しいですが、税務上はしっかりと分けておく必要があります。

最低限、事業用の現金について管理をしておく必要があります。

そこで事業用現金自体の利用を減らすためにクレジットカードを活用することも一つの手段です。

万が一事業用現金がずれてしまった場合には、釣銭のずれによる場合には「雑費」や「雑損失」として処理します。

個人的な支出で現金がずれている場合には次のように処理します。

個人事業の場合:事業主貸

法人の場合:役員貸付金

現金管理や経理については税理士さんに相談しておくことでデメリットを減らしていきましょう。

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