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個人事業でも株式会社や合同会社でも、身内に対するお給料の支払いをしているケースがあります。奥様などのご家族へのお給料は節税になるからというだけで出している場合にはトラブルになるので注意しましょう。

個人事業主が「家族へのお給料を税務調査で否認されないために」~給与のチェック項目~

周りの社長と話をしていると「節税のために奥さんに給料を払っている」という話を聞いたことがあると思います。

個人事業も株式会社や合同会社などの法人でも、奥さんや親族に節税のために給料を払っていたりします。

ただし、節税と脱税は違うということがポイントになります。

身内に給料を払っている場合で、実際には働いていないのに給料だけを払っているケースは節税ではなくて脱税といいます。

このように、脱税扱いになる場合には重加算税という非常に高いペナルティーを支払うことになってしまいます。

さらに、税務調査が短期間のうちに再度当たる可能性が高くなります。

家族への給与は非常に税務調査の際にトラブルになることが多いので注意が必要です。

お金を渡す男性

個人事業の場合の家族への給与の取り扱い

個人事業の場合、青色申告と白色申告で家族への給料の取り扱いが変わります。

原則として、個人事業主は生計を一にする家族への給料を支払っても経費にならないという作りになっています。

ただし、事業に専従していて一定の要件に該当する場合には一定の金額を必要経費に入れることができます。

専従しているとは、その年を通じて6か月を超える期間、その仕事に専ら従事していることが要件になります。

青色事業専従者の場合には、その念を通じて6か月を超える期間が原則ですが、結婚など一定の場合には事業従事可能期間の1/2を超える期間その事業に専従していればOKです。

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・白色申告の場合

白色申告の家族給与の取り扱い

払ったお給料自体は経費になりません。

その代わり事業専従者控除という一定の計算式で計算した金額が経費になります。

配偶者の場合、最大86万円・その他の親族の場合最大1人当たり50万円ということになります。

①と②の低いほう

① 配偶者の場合86万円・その他の親族の場合50万円/人

② 専従者控除適用前の事業所得等の金額÷(専従者の人数+1)

白色申告の場合の家族給与のよくある間違い

① 受けられた控除を知らなかったケース

奥様は毎日事務を手伝っていて、銀行周りや領収書の整理をしていました。

社長が外回りをしてる時間は電話番がいなければ困るので、電話番をしていたりでパートに出ることもできません。

社長も奥様も一生懸命仕事を頑張っていたので売上も利益も順調に伸びていました。

確定申告時に事業専従者控除の規定を知らなかったため、配偶者控除に奥様の名前と生年月日を記載して確定申告をしました。

失敗のポイント

この例では、奥様が毎日仕事を手伝っているというところと、外で働いていないという点です。

仕事に専従しているという要件を満たしていることから、事業専従者控除の要件を満たしていました。

配偶者控除では38万円の控除ですが、事業専従者控除を受けていれば86万円の控除が受けられた可能性があります。

所得税と住民税の損だけでも最低税率でも7万円以上の損になります。

実際には国民健康保険など大きく損をしています。

② 家族への給与が経費になると思っていたケース

毎日店番をしていて、事務もしてくれている奥様。

2人だけでは、忙しい時間店が回らないのでアルバイトも雇用しています。

お店にタイムカードを用意して、アルバイトと奥様はタイムカードで労働時間を管理しています。

アルバイトと同じ時給で奥様にもお給料を支払っています。

ところが、後日の税務調査の際に奥様に対するお給料は経費にならないと指摘されてしまいました。

失敗のポイント

白色申告の場合、生計一親族に実際に支払ったお給料は経費になりません。

アルバイトなど第三者と同じ基準で支払っていたとしても必要経費にできないのです。

このケースでは、青色申告に切り替えると同時に「青色事業専従者給与に関する届出書」を提出することで奥様に払う給料を経費にすることができます。

確定申告

・青色申告の場合

青色申告者の生計一親族に対する給与の取り扱い

要件を満たした給与支給をした場合、支払った青色事業専従者給与は必要経費に算入されます。

重要:

原則:適用を受けようとする年の3月15日までに「青色事業専従者給与に関する届出書」を税務署に提出していなければ受けられません

例外:①その年1月16日以後新たに事業を開始した場合:開始した日から2か月以内

   ②新たに専従者がいることになった場合:新たに専従者がいることとなった日から2か月以内

必要経費になる金額:記載されている金額の範囲内。ただし、労務の対価として課題とされる部分は必要経費として認められませんので注意しましょう。

青色申告者の親族に対する給与によくある間違い

① 届出を提出していなかった!

驚かれるかもしれませんが、青色事業専従者給与に関する届出書を提出してないケースがよくあります。

開業してすぐに、開業届と青色申告の承認申請書は提出していても「青色事業専従者給与に関する届出書」は出していませんでした。

まさか、お給料にこんな規定があるとは知らなかったため届出書を出していません。

奥様など生計一親族に給料を支払っていても経費にならないとは知らないため、必要経費に入れてしまっていて税務調査で指摘されました。

税務署に規定を知らなかったことを説明しても、救済措置はありません。

「では来年から届出をして、来年から経費に入れてください」ということにしかなりません。

失敗のポイント

開業の際に、税理士事務所に相談することで届出書の提出ミスをなくすことができます。

お客様の状況によって提出する届出書は変わるため、きちんと開業関係に詳しい税理士事務所に相談していれば防げたミスになります。

青色事業専従者給与の経費が否認されてしまうと、社長の利益が増えますので納税額は多くなります。

さらに、国民健康保険の保険料も高くなってしまいます。

② 届出書に記載していた金額を超えていた!

青色事業専従者給与に関する届出書に記載した金額を忘れているケースがよくあります。

一度届出をすると、改めて届出をしていないケースがあります。

給料に変動がなければよいのですが、変動があれば問題になる場合があります。

たまたま利益が出そうなので奥様のお給料を上げたり、多額のボーナスを出すと届出書に記載していた金額を超えてしまうことがあります。

まとめ

税務調査では家族に対する給与は常にチェックされます。

特に個人事業主の青色申告では事前の届出が重要です。この届出を忘れていたり、記載金額とことなった給与が出ていると税務調査で否認されてしまいます。

所得税・住民税・国民健康保険が数年分増額されてしまうことになるため、親族への給与については管理をしておきましょう。

開業時に税理士事務所に相談して、自分に合った届出関係をチェックしてもらうだけで防げるデメリットです。

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