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頑張っている社長の悩みは「役員報酬をいくらにすべきか」です。役員報酬を高く設定しても、結局所得税・住民税・社会保険料で取られてしまって困るという話になります。

会社に利益を残したほうが良いのか、役員報酬をいくらまで上げていいのか永遠のテーマです。

頑張っている社長の役員報酬の決め方~役員報酬はいくらが妥当か~

株式会社や合同会社の経営者は役員報酬というお給料を会社からもらいます。

しかも、役員報酬は法人税法上様々な制約があって途中で上げ下げしてはいけないというルールまであって非常に窮屈です。

役員報酬を低く設定すれば、法人に利益が残り、役員報酬を高く設定すると法人の利益が下がるという仕組みになります。

そうなると、役員報酬を高く設定すればするほど個人の税金の負担が高くなります。

法人税の税率は約37%くらいですから、高額な役員報酬を設定するよりも法人税を払ったほうが得ということになります。

考え方によって役員報酬の設定が変わってくるので考え方を見ていきましょう。

Girl in white has to decide between two directions. Girl in white full of doubts and hesitation.

給与所得控除は収入によって率が下がる。しかも、上限も下がってくる

役員報酬などの給与収入は、収入金額に応じた概算の経費を引くことができます。

これを給与所得控除といいます。

この給与所得控除は縮小されているため、平成27年までと平成28年以後で計算が変わります。

平成29年以後については、役員報酬1,000万でも、役員報酬3,000万円でも上限の220万円の給与所得控除しか受けられなくなります。

(平成25年~平成27年)

給与収入   180万円以下 給与所得控除額 収入金額×40%(最低65万円)

給与収入 ~ 360万円以下 給与所得控除額 収入金額×30%+18万円

給与収入 ~ 660万円以下 給与所得控除額 収入金額×20%+54万円

給与収入 ~1,000万円以下 給与所得控除額 収入金額×10%+120万円

給与収入 ~1,500万円以下 給与所得控除額 収入金額×5%+170万円

給与収入  1,500万円超 給与所得控除額 245万円(上限)

(平成28年)

給与収入 1,000万円~1,200万円以下 給与所得控除額 収入金額×5%+170万円

給与収入  1,200万円超 給与所得控除額 230万円(上限)

(平成29年)

給与収入 660万円~1,000万円以下 給与所得控除額 収入金額×10%+120万円

給与収入  1,000万円超 給与所得控除額 220万円(上限)

business graph and chart

所得税率の最高税率は45%

所得税の税率は超過累進税率という稼げば稼ぐほど高い税率が適用されます。

課税所得金額が4,000万円を超えると最高税率の45%の税率が適用されます。

課税所得金額 195万円以下   所得税額 課税所得金額×5%

課税所得金額~330万円以下   所得税額 課税所得金額×10%-9万7,500円

課税所得金額~695万円以下   所得税額 課税所得金額×20%-42万7,500円

課税所得金額~900万円以下   所得税額 課税所得金額×23%-63万6,000円

課税所得金額~1,800万円以下  所得税額 課税所得金額×33%-153万6,000円

課税所得金額~4,000万円以下  所得税額 課税所得金額×40%-279万6,000円

課税所得金額 4,000万円超   所得税額 課税所得金額×45%-479万6,000円

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社会保険料は健康保険分と厚生年金分の合算

介護保険対象者を前提に記載すると、健康保険料は会社と役員を合わせて11.54%です。

役員報酬の135万5千円以上で上限の160,406円/月(会社と役員を合わせた金額)です。

厚生年金保険料は会社と役員を合わせて17.828%です。

役員報酬は60万5千円以上で上限の110,533円/月(会社と役員を合わせた金額)です。

つまり、役員報酬を月135万5千円以上に設定すると社会保険料も上限に達しているということになります。

役員報酬が135万5千円/月の人の場合はどれくらいの負担か?

年収 135万5千円×12か月=1,626万円(役員報酬の年収)

年間社会保険料 (160,406円+110,533円)×1/2×12か月=1,625,634円

給与所得 1,626万円(給与所得)-245万円(給与所得控除額)=1,381万円

課税所得金額 1,381万円(給与所得)-1,625,634円(社会保険料控除)-380,000円(基礎控除)=11,804,366円→11,804,000円(千円未満切捨て)

所得税額 11,804,000円×33%-1,536,000円=2,359,320円→2,359,300円(百円未満切捨て)

住民税額 (110,804,000円+50,000(住民税控除額調整))×10%=1,185,400円

所得税・住民税合計 3,544,700円

役員報酬に対する負担率

所得税・住民税 3,544,700円÷1,626万円=約21.8%

社会保険料 1,625,634円÷1,626万円=約10%

所得税・住民税・社会保険料を合わせると約31.8%の負担が生じます。

社会保険料の会社負担分の増加も負担に含めると、約41.8%の負担になります。

説明するビジネスマン

役員報酬を上げるべきか法人税を払うべきかのまとめ

・お給料の税負担は年々上がってきています。

・お給料に対する社会保険料も年々上がっていますが、上限金額があります。

そのため、役員報酬を一定金額以上とっている場合、社会保険料の負担割合は収入に対して下がっていきます。

法人税を支払った場合には、会社内部に残るのは約63%です。

役員報酬を上げたことで、社長個人の手持ち財産の増加は68.2%です。

役員報酬がより高額になればなるほど、法人税を払う負担と社長の役員報酬を上げることでの負担の割合は逆転していきます。

会社利益を上げることと役員報酬で個人に資産に移転することで、会社経営の方向性が変わってきますので税理士さんと積極的に打合せをしていきましょう。

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