退職金が節税につながる理由とは?~準備をしないと会社が潰れます~
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退職金が節税になるという噂をご存知でしょうか?実は退職金を上手に活用することで法人も個人も税金が安くなるという優れものなのです。退職金を戦略的に使うことが会社経営でも社長のライフプラン上も重要なのです。
退職金が節税につながる理由とは?~準備をしないと会社が潰れます~
退職金が節税につながる理由は大きく分けると2つに分かれます。
1つ目は所得税側の節税です。
退職所得は所得税法の中でも「質的担税力」という部分で税負担が軽くなるように作られています。
質的担税力とは所得の種類のなかで、一定の種類の所得は税負担が軽くなるように特別な計算方法で計算したり、逆に政策的に税負担が重くなるように特殊な計算をしようというものです。
最近でこそ終身雇用という制度が崩壊しつつ合って一生涯を一つの会社で過ごす人も減ってきました。
いくら転職が増えてきたといっても、毎年毎年退職金をもらったり短期間のうちに退職金をもらう人はほとんどいません。
本来の退職金の考え方は老後の生活資金への税負担の軽減というものもあるので税負担が低くなるように所得計算を作っています。
そのため退職金をもらう側で所得税・住民税の軽減が図られています。
2つ目は法人の方での節税です。
役員へのボーナス(役員賞与)は原則として法人税法上経費になりません。
役員のお給料が高すぎると高額すぎる役員報酬は損金不算入とされて法人税法上経費にならないという別な規定もあるのです。
なかなか思うように社長にお金を払いたくても思うようにいかないのが法人なのです。
特に家族経営の会社などは税務署から目をつけられやすいため、お給料や賞与をめぐるトラブルが多くなっています。
その点退職金はある程度まとまった退職金を支給することができます。
ただし、役員への退職金が高額となる場合には役員退職金の損金不算入規定で税務調査で避妊されてしまうことがあるので注意が必要です。
所得税法上の退職金とは?
退職金に関する定義をしているのは所得税法第30条(退職所得)の部分で定めています。
所得税法第30条
退職所得とは、退職手当、一時恩給その他の退職により一時に受ける給与及びこれらの性質を有する給与(以下この条において「退職手当等」という。)に係る所得をいう。
退職金をもらう側が退職所得として節税につながってくるものは、所得税法上の退職手当等です。
単純に退職したときにもらう退職金と覚えておけば十分です。
余談ですが、一般的には退職金が退職で節税につながることはわかりやすいのですが後段の「退職により一時に受ける給与及びこれらの性質を有する給与」というところにも注意が必要です。
会社が破産手続き開始決定を受け、その他の政令で定める事由になった場合に未払賃金があるときは、国がその未払い賃金のうち政令で定める範囲内のものを支払ってくれることがあります。
このような未払い給与は給与所得ではなく、退職金として申告することになるので注意しましょう。
給与所得で申告する方が税金が高くなってしまいます。
退職所得として申告することが正しいのでしっかりと知っておきましょう。
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退職金をもらう人の税金が安くなる仕組みとは?
退職金をもらう人がなぜ税金が低くなるのかというと退職所得の税金の計算方法にあります。
退職金をもらうと税金が安くなるのは2つの理由からです。
①退職所得控除という概算の経費を見てくれる
②一定の人以外は利益を1/2で計算してくれる
退職所得の計算方法は原則的なものと一定の役員等の場合の2パターンがあります。
法人の役員の人は注意が必要ですので気を付けてください。
1:一般的な退職所得の計算方法
退職所得の金額=(退職金の総額-退職所得控除額)×1/2
退職所得控除額とは
退職所得控除額は勤続年数によって計算方法が変わります。
長く勤務した人ほど控除額が大きくなるような仕組みになっています。
①勤続年数が20年以下の場合:40万円×勤続年数(最低80万円)
②勤続年数が20年超の場合:70万円×(勤続年数―20年)+800万円
2:一定の役員の場合の退職所得の計算方法
法人の役員等の場合には「在任期間に注意」が必要です。
勤務年数が5年以下の役員は退職金のうち、その役員等の勤続年数に対応して支払いを受けるものについては退職所得の1/2計算はなくなっています。(平成25年以後)
退職所得の金額=(退職金の総額-退職所得控除額)※1/2にならないので税金高い
この税金が高くなる可能性のある役員等とは次の人をいいます。
イ.法人の取締役、執行役、会計参与、監査役、理事及び清算人並びにこれら以外の者で法人の経営に従事している一定の者
ロ.国会議員及び地方公共団体の議会の議員
ハ.国家公務員及び地方公務員
法人側が退職金で節税できる仕組み~税金が安くなるだけではなかった~
法人は退職金を出すことで大きな経費を出すことができます。
しかも役員報酬を上げていた場合には社会保険料も高額になるのですが、退職金の場合には社会保険料がかかりません。
まとまったお金を役員や従業員に支払っていても社会保険料の負担がないので会社も個人もうれしいのです。
ただ、退職金は高額になってしまうのでいきなり大金を払い出すことは会社経営上リスクを作ってしまうことになります。
そこで法人は会社の経営上大きなリスクにならないように退職金準備をしていく必要があります。
法人側の賢い退職金準備方法~保険も上手に活用すべし~
役員の場合の退職金は数千万円になることも珍しくありません。
一般の従業員さんでも数百万ということになってきます。
1代で会社を成長させてきた社長にとっては腹心の部下も年齢的には近い可能性があります。
まとまった退職金が大量に必要になってしまう可能性があるわけです。
いきなり会社の預金すべてを吐き出したのでは、会社は大赤字で運転資金も無くなってしまいます。
これでは後継者も事業を続けられないことになります。
そこで在任中から計画的に退職金の準備をしておく必要があります。
退職金を少しずつ経費計上できた「退職給与引当金制度」がなくなっている
かなり前の話になりますが平成14年7月に公布された法人税等の一部を改正する法律により退職給与引当金の経費繰り入れができなくなっています。
退職金の準備期間に少しずつ経費として積み上げられなくなってしまいました。
こうなってしまうと退職金という大きな経費が出るまで経費処理ができないという大事件が起きてしまいます。
退職が起きるまでは利益がでて納税をしていたわけですから、手元の退職金の予定キャッシュが減っています。
これでは納得できるだけの退職金の支払いも難しい状況になります。
そこで法人の場合には、様々な生命保険を活用して節税をしながら退職金準備をしていきます。
先ほどもお話しした通り、いきなり退職金を払い出したのでは運転資金も無くなってしまうので保険の解約も含めてキャッシュを作っていく必要があるのです。
まとめ
退職金はもらった側でも節税効果が高い給与です。
法人側でも退職金は大きな損金(経費)を払い出すチャンスです。
法人税法では退職金を支払うまで(退職金の支給決定があるまで)は経費で落ちません。
そのため、会社側は長い期間をかけて生命保険を活用して節税しながら退職金準備を進めていかなければ資金繰りがおかしくなります。
退職金制度と生命保険の税務に詳しい税理士さんに今すぐ相談しておきましょう。
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