個人事業主の資金繰りが楽にならない理由とは【個人の税金の仕組みが原因】
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個人事業主の資金繰りが厳しいという話が多いことをご存知でしょうか?開業して最初の頃は成長が早いので収入が増えて楽になったと感じるのですが、数年たつと税金に追われるようになってしまう原因を考えてみましょう。
個人事業主にとって一番気になるのは「なぜ個人の税金は高いのか」という疑問です。
なんとなく事業を頑張っているのにお金が全然残らないという悩みは個人事業主共通の悩みです。
なぜ個人事業主になると税金に追われるようになるのかを考える機会は少ないと思います。
税理士さんを頼んでいても、月々の損益をみるだけで税金の仕組みまで話す機会はなかなかないものです。
税理士さんを頼んでいるから大丈夫と思うだけでは、「なぜ個人の税金が高いままなのか」という仕組みがわかりません。
今回は個人の税金が高くなってしまう理由と資金繰りが楽にならない原因を見ていきます。
(個人事業主の資金繰りが楽にならない理由とはの目次)
1.個人事業主にかかる税金の種類
2.個人事業開業時は「創業融資」で節税できていた
3.国民健康保険料がすぐにマックス
4.消費税が出ることで資金繰りが悪化
5.法人設立で個人と会社の資金繰りを別管理
6.まとめ
1.個人事業主にかかる税金の種類
個人事業主に係る税金はサラリーマン時代よりも種類が多いので注意が必要です。
税金の種類が多いということは「税金を払う期日管理」が難しくなるということです。
税理士さんに頼んでいる場合、確定申告が終わった後に「納税予定表」というものを作ってもらえることがあります。
この納税予定表をもらえれば管理が楽なのですが、自分で確定申告をしている場合には「いきなり納税通知書」が郵送されてきます。
この納税通知書を受け取った場合、1か月以内に最初の納税をする必要があることが多いので資金繰りが一気に悪化します。
税理士さんに確定申告を頼むメリットの一つに税金の「納税予定表の作成」をお願いできるという点も挙げられるかもしれません。
さて、個人に関する税金は次のものがあります。
①所得税
②住民税
③事業税
④消費税
⑤償却資産税 など
サラリーマン時代は上記のうち、①所得税と②住民税がかかっていました。
③事業税・④消費税・⑤償却資産税はサラッリーマン自体には課税されていません。
会社が払ってくれていたのです。
個人事業主として開業することで「自分=会社」となったため、すべての税金を自分が支払うことになるのです。
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2.個人事業を開業したては「創業融資」で節税できていた
個人事業を開業する場合に、元手が全くないという人はごくごく少数です。
事業を始めるためには多少の資金を持って開業していきます。
日本政策金融公庫の「新創業融資制度」や「新規開業資金」など創業融資を受ける方も多いと思います。
これ以外にも制度融資と呼ばれる保証協会の保証が付いた創業融資を受ける新規開業者も多いのです。
個人事業主で開業される方は、いきなり大きな事業を始めるケースは少ないと感じます。
開業当初は大きな売上が急に立たないケースもあり、経費も大きく使わないで堅実に経営を始める方が多いのです。
創業融資を受けることで手元現預金は数百万円ストックしている状況ですから気持ち的には楽になります。
開業当初はお客様も少なく売上が少なくても、2年目くらいから売上も増えてきます。
売上が入ってくると手元にある資金を使っても大丈夫という安心感も出てきます。
そこで銀行融資で手元にある資金を使って少額の設備投資や経費を使い始めます。
これによって、売上が増えてきた分の利益を経費を使うことで無意識に節税しているのです。
上手に経費を使うことによって、さらに売上が増えて事業が軌道に乗るということになります。
(成長によって資金使途が経費で落ちないものに変わる)
事業の売上が増えていくことで、支払ったときに経費で落ちないものにお金を使うようになります。
例えば、自動車・厨房機械や事務所の内部造作など「減価償却資産」と呼ばれるものです。
購入する金額は高額なのですが、数年間かけて減価償却をして経費化していくものです。
購入したときには手元の資金を使ってしまうけども、経費で落ちるのは数年間かけて少しずつになります。
そのためお金が手元にないのに利益がでるという時期に入ってきます。
3.国民健康保険料がすぐにマックス
個人事業主になると会社員時代の社会保険ではなくなります。
個人事業主は原則として「国民健康保険」という保険に加入することになります。
年金については厚生年金ではなく「国民年金」という年金制度に加入します。
国民年金は1人16,490円/月(平成29年4月~)と定額になりますが、国民健康保険料は事業の利益が大きければ大きいほど高くなる仕組みになっています。
国民健康保険料は所得が大きくなると金額が大きくなるようになっています。
個人事業の利益が大きくなればなるほど国民健康保険料が高くなるということにつながっていくのです。
国民健康保険料が高い地域と低い地域の格差もあるので一概に高いとは言えないかもしれません。
しかし、国民健康保険料の高い地域と安い地域では2倍程度も開きがあるようです。
金額でいうと30万円以上の開きということになります。
健康保険料が高い地域の場合には、住民税よりも国民健康保険料が高く生活費を圧迫することになります。
これでは事業に投資すべきお金も吸い取られてしまい、節税資金も少なくなってしまいます。
その結果事業税が上がってしまったり、稼ぐ力が失われてしまいます。
4.消費税が出ることで資金繰りが悪化
個人事業主の中で一番どうにもならない税金が「消費税」です。
赤字の会社でも黒字の会社でも関係なく納税が発生する税金です。
預り金として消費者から消費税相当分を預かっているわけですが、個人事業主にとっては運転資金として使ってしまっているケースが多いのです。
特に開業してから2年間は消費税が免税になるので、生活費や運転資金として使っています。
消費税を納税する時になっていきなり「30万円以上の納税」というケースが多くなるので大変な問題になります。
いきなり30万円を払うということは1か月以上の生活費がなくなるということになります。
個人事業主も消費税の納税対策をしておかなければ税務署の督促電話におびえる日々が始まってしまいます。
5.法人設立で個人と会社の資金繰りを別管理
会社設立をして法人化することには消費税節税だけが目的ではありません。
個人事業の場合には、会社の運転資金と生活資金が一緒になりやすいのです。
そこで会社設立をすることで個人の生活費と会社の運転資金を明確に区分して管理することができます。
会社の部分に関しての税金を会社のお金で払い、個人のお給料に関する税金を個人で払うということになります。
さらに、個人事業主が会社の役員になることで同じ収入でも個人事業主よりも低い税金になります。
社会保険料が発生してくることから会社としての資金繰りには注意が必要です。
6.まとめ
個人事業主として開業してから「こんなにお金が残らないのはなぜ?」と愕然とする方がたくさんいます。
それは個人事業に係る税金の種類が多いことと生活費と事業資金が一緒になってしまうからです。
さらに開業時には経費で落ちやすいものに出費をしますが、成長してくると一発経費で落ちないものへの投資も行われます。
会社のお金の支出と経費のタイミングがずれることで帳簿上の利益がでてくる仕組みになっています。
利益がでることで税金だけではなく国民健康保険料も高くなるので生活費を一定にすると事業資金が不足するという事態が起きてしまいます。
個人のお金と会社のお金を明確にわけて、かつ、節税をするために会社設立をして法人化する人が多いのです。
会社設立については法人に詳しい税理士さんに相談していきましょう。
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