【年末調整】「副業収入20万円以下は申告不要」は半分ホントで半分ウソ!?会社にバレる仕組みと正しい税金手続き

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会社の給料とは別に、週末のWebデザインの仕事で年間15万円の所得を得たAさん。「副業の所得が20万円以下なら、確定申告はしなくていい」という話を聞いていたので、「年末調整は会社の給料分だけでいいや」と考えていました。

しかし、翌年の6月。会社の経理担当者から「Aさん、今年の住民税が他の人より少し高いようですが、何か他に収入がありますか?」と尋ねられてしまいます。Aさんの頭は真っ白。「なぜバレたんだ!?」

この**「20万円ルール」**は、副業を持つ会社員にとって最も有名でありながら、最も危険な誤解を生んでいるルールです。その正しい意味を知らないと、あなたもAさんのように、意図せずして会社に副業が伝わってしまうかもしれません。

この記事で、すべての誤解と不安を解消します

この記事では、「20万円ルール」の本当の意味、そして多くの人が見落としている「住民税」という最大の落とし穴について、専門家の監修のもと、徹底的に解説します。

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「20万円ルール」の真実:免除されるのは”所得税の確定申告”だけ

まず、このルールの正式名称を理解しましょう。これは、「給与を1か所から受けていて、その給与の全部について源泉徴収される人で、給与所得や退職所得以外の所得金額が20万円以下である人は、確定申告をしなくてもよい」という、所得税法のルールです。

ポイントは2つです。

  • 1. 「収入」ではなく「所得」で判断する:所得とは、収入(売上)から必要経費を差し引いた後の「儲け」の部分です。
  • 2. 免除されるのは「所得税の確定申告」の義務だけ:これが最大のポイントです。

最大の落とし穴:「住民税」の申告は20万円以下でも”必要”

冒頭のAさんが会社に副業を知られた原因、それは**「住民税」**です。所得税の「20万円ルール」は、住民税には適用されません。地方税法では、所得の大小にかかわらず、**すべての所得を市区町村に申告する義務**があります。

会社に「バレる」仕組み

確定申告をしないと、税務署から市区町村へあなたの副業所得の情報が連携されません。市区町村は、あなたの本業の会社から送られてくる給与支払報告書(年末調整の結果)しか情報がないため、その給与額に基づいて住民税を計算し、会社へ通知します。

しかし、あなたが別途、市区町村へ副業所得の申告を怠った場合、後から税務調査などで副業が発覚すると、市区町村は住民税を再計算し、その**追加分の税額を、あなたの本業の会社へ「特別徴収(給与天引き)」として通知**します。会社の経理担当者は、その通知を見て「給与の額と住民税の額が合わない。他に所得があるな?」と気づくのです。

どうすればいい?:「普通徴収」という選択

副業分の住民税を、会社の給与から天引きされる「特別徴収」ではなく、自分で直接納付する**「普通徴収」**に切り替えることで、会社に通知が行くのを防ぐことができます。

確定申告をする場合は、申告書の第二表に「住民税に関する事項」という欄があり、「自分で納付」にチェックを入れることで普通徴収を選択できます。20万円以下で確定申告をしない場合は、お住まいの市区町村の役所で住民税の申告を別途行い、その際に普通徴収を希望することを伝えます。

副業の種類別・正しい手続き

ケース1:副業がアルバイト・パートの場合(給与所得)

年末調整は1社でしか行えません。そのため、2箇所以上から給与をもらっている場合は、原則として**すべての給与を合算して、自分で確定申告を行う**必要があります。「20万円ルール」は適用されません。

ケース2:副業がフリーランス型の場合(事業所得・雑所得)

こちらが「20万円ルール」の対象です。所得が20万円を超える場合は確定申告を、20万円以下の場合でも住民税の申告を忘れずに行いましょう。

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この記事のまとめ

  • 「副業所得20万円以下で申告不要」は、所得税の確定申告に限った話。
  • 住民税の申告は、所得の大小に関わらず、市区町村に別途行う義務がある。
  • 会社に副業を知られる主な原因は、この住民税の通知
  • 対策は、確定申告や住民税申告の際に、副業分の住民税を「普通徴収(自分で納付)」にすること。

多様な働き方を、正しく賢く

副業は、あなたのスキルや可能性を広げ、人生を豊かにする素晴らしい挑戦です。その挑戦が、税金の知識不足からくる不安や、会社との意図せぬトラブルに繋がってしまうのは、あまりにも悲しいことです。

そして、経理・総務担当者の皆様。従業員の多様な働き方をサポートし、個別の事情に対応していくことは、これからの会社の重要な役目です。その最前線に立つ皆様の専門的な仕事に、心からの敬意を表します。

「自分のこのケースは、どう申告するのがベストなんだろう?」「経費はどこまで認められる?」そんな具体的な悩みは、一人で抱え込まず、ぜひ専門家を頼ってください。「経営コンサル型税理士」は、あなたの状況に合わせて、最も有利で、かつ最も安全な税金対策を一緒に考えてくれます。

正しい知識は、あなたを不安から守る最強の盾です。私たちは、挑戦するすべての人を、いつでも応援しています。


【免責事項】
当サイトは、専門家の監修のもと情報を提供しておりますが、記事作成時点の法令や情報に基づいています。万全を期しておりますが、その内容の正確性や安全性を保証するものではありません。また、特定の個人や組織の状況に適用できるものではない可能性があります。
実際の税務判断にあっては、必ず税理士や所轄の税務署、市区町村にご確認の上、ご自身の責任において行っていただきますようお願い申し上げます。

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