法人決算と個人確定申告の違いとは?
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法人決算と個人確定申告で違う部分はどこなのかが気になるところです。個人事業の時には自分で経理をしていた人も法人を設立すると法人決算をして法人税の申告書などを税務署に提出していくことになります。個人確定申告と法人決算の違いを知って安心しておきましょう。
法人決算と個人確定申告の違いとは?
「法人決算と個人確定申告の違いは?」と個人事業の方に聞いてもすぐに答えられないかもしれません。
しかし、個人事業主が確定申告と法人決算の違いを知らないと法人化する決断ができません。
作ってから税理士さんにお願いすれば大丈夫なのですが、事前に知っておく方が気が楽ですね。
個人の確定申告と法人決算の違う点に気を付けながら、日常の経理の注意点の違いも見ていきましょう。
法人決算は個人確定申告の準備期間よりも短い
個人事業主は1月1日から12月31日までの期間の内容をまとめて翌年2月16日から3月31日までの間に税務署に確定申告書を提出します。
口座振替を行っていない場合には、3月15日までに所得税の納税も済ませておく必要があります。
消費税の課税事業者であれば3月31日が消費税の申告・納税期限です。
個人事業の場合には、前年12月31日までのものを所得税は3月15日・消費税は3月31日までに申告納付するということになります。
事業年度が終わってから約2か月半と3か月の時間があります。
法人になるとこれが短くなります。
法人は事業年度終了後2カ月以内に法人税も消費税も申告納税しなければなりません。
法人の事業年度は会社の任意で定められるので会社ごとで異なります。
個人事業と同じ計算期間の法人であれば12月決算法人ということになります。
12月決算法人は1月1日から12月31日の期間を事業年度とする法人です。
12月決算法人の申告納税期限は2月末日(うるう年は2月29日)が申告納税期限になります。
12月決算法人の場合には事業年度終了後申告納税まで約59日しかありません。
8月決算法人であれば申告納税が10月31日までとなるので、事業年度終了後61日となります。
いずれにしても法人にすることで決算申告は個人の確定申告の時よりも短時間で行わなければなりません。
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法人決算で作らなければらならないものは確定申告の時と比較にならないほど多い
個人事業時代に確定申告で慣れているから法人決算も自分一人で大丈夫と思っていたら注意が必要かもしれません。
先ほどお話ししたように、個人確定申告よりも事業年度終了から税金の申告までの期間が短いのです。
申告納税までの期間が短いのに個人確定申告よりも作る書類が多くて面倒くさいのです。
申告期限ぎりぎりに申告書を作り始めると提出期限に間に合わない可能性もあるので注意しましょう。
個人確定申告の時に作る一般的な書類(個人事業主を前提)
個人事業の場合にはたったの3種類くらいです。
①確定申告書B
事業所得がある場合には確定申告書Bを使います。
社会保険料控除・生命保険料控除などの所得控除を記載していきます。
申告書の作成時間としては法人に比べると時間のかからない申告書です。
②青色決算書又は収支内訳書
青色決算書・収支決算書には記載欄が多少はありますが量はそれほど多くありません。
③消費税申告書
消費税申告書も法人に比べると簡易的な申告書になっています。
個人事業の場合には「課税取引金額計算表」「課税売上高計算表」「課税仕入高計算表」という表を使って消費税を計算しやすいように作られています。
法人の場合には、付表2-(2)というものに直接書き込みながら計算をすることになります。
法人税申告書等を作るのに一般的に必要な書類
法人になると個人事業の3種類に比べ圧倒的に多い8種類もの書類を作成しなければなりません。
しかも、1種類当たりが十数ページになってしまうものもあり事務作業の時間だけでも個人事業の何倍もかかってしまいます。
①法人税申告書
個人事業の時のように売上から順番に税金を計算していきません。
いきなり利益から法人税法上経費にならないものを足し戻していく形式の申告書を使っていきます。
個人の事業主の別物の申告書を作ることになります。
さらに、法人税申告書は別表とよばれる申告書の一部のものがたくさんあります。
量の少ない法人でもこの部分だけで10種類前後の別表を作ることになります。
③事業概況説明書
法人税申告書には売上・利益・役員報酬などを大まかに記載する書類があります。
決算書の内容の一部を事業概況説明書という別な紙に書いて提出するという面倒なことが起こります。
決算書をみればわかることなのですが、事業概況説明書にも同じ内容を記載して提出します。
④適用額明細書
法人税関係の特別措置の適用を受け場合に、その租税特別措置法の条項・適用額を記載する書類です。
わかりにくいですよね。
租税特別措置法という法律の特例をつかって税金上得したものがあるのであれば、その根拠の措置法の条文番号と特例を使った金額を記載しなさいということです。
そのため節税で使ったものがあるときには条文番号を調べて「いくらの額だったか」をもう一度調べなおして書類を作ります。
⑤法人決算書
これは個人事業の時の青色決算書みたいなものです。
個人事業の青色決算書とは仕様が異なるので、会計ソフトで法人用のものを使っていれば問題なく出力できます。
ただし合同会社の人は会計ソフトの設定を変えたり、加工しなければならないので注意しましょう。
NPO法人・一般社団法人の場合には市販の会計ソフトのなかでもソリマチ会計王のNPO法人スタイルを使っている方が便利です。
⑥勘定科目内訳書
勘定科目内訳書は次のものを記載します。
1.預貯金等の内訳書
2.受取手形の内訳書
3.売掛金(未収入金)の内訳書
4.仮払金(前渡金)・貸付金及び受取利息の内訳書
5.棚卸資産(商品又は製品、半製品、仕掛品、原材料、貯蔵品)の内訳書
6.有価証券の内訳書
7.固定資産(土地、土地の上に存する権利及び建物に限る。)の内訳書
8.支払手形の内訳書
9.買掛金(未払金・未払費用)の内訳書
10.仮受金(前受金・預り金)の内訳書(源泉所得税預り金の内訳)
11.借入金及び支払利子の内訳書
12.土地の売上高等の内訳書
13.売上高等の事業所別内訳書
14.役員報酬手当等及び人件費の内訳書
15.地代家賃等・工業所有権等の使用料の内訳書
16.雑益・雑損失等の内訳書
⑦法人地方税申告書(法人市民税・法人道府県民税)
一般的には法人税申告書の作成と同時に法人地方税の申告書も作成していきます。
市区町村に対するものと都道府県に対するものに分かれます。
⑧消費税申告書
個人事業と同様に課税事業者に該当する場合には消費税申告書も作成提出していきます。
法人税申告書には青色申告特別控除はない
個人事業の時には、青色申告者には青色申告特別控除が最大65万円ありました。
経費を使わなくても経費と同じような節税効果のあるものでした。
法人の場合には青色申告をしても青色申告特別控除はないので注意しましょう。
白色申告の法人であれば30万円未満の少額減価償却資産の一発経費算入が使えない、繰り越すことのできる赤字が限られるなどデメリットが出てきます。
まとめ
個人事業を法人にすることで急激に提出する書類が増えてきます。
さらに税法に関する知識がなければ書けない書類も出てきます。
個人事業の時には自分でできたから法人になっても大丈夫と思っていると、申告書の作成段階で時間をロスすることがあるので気を付けましょう。
決算時だけではなく法人は事業年度の最中にも税務上の決まりごとが多くなるので法人設立の際には税理士さんに相談しておく方が安心です。
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