スポンサーリンク
節税といっても「お金が貯まる節税」と「お金が無くなる節税」の2種類があることをご存知でしょうか?「お金が貯まる節税」・「お金の無くなる節税」ですと説明されないことが多いので経営者は自分でしっかりと判断していきましょう。
「お金が貯まる節税」と「お金がなくなる節税」~キャッシュ経営に向かう基礎~
中小企業の会社経営で一番大切なことはキャッシュ(現預金)です。
いつ・どんな時でもキャッシュに勝るものはありません。
キャッシュを生み出すには利益を出すことが必須です。
利益が出れば当然、税金も高額になってきます。
そこで節税という話になるのですが、この「節税」には「お金が貯まる節税」と「お金がなくなる節税」の2種類があるのです。
会社経営において大切なものはキャッシュ経営です。
いかにお金を残していけるかが、強い会社を作ることができるかどうかです。
税金というコストをどのようにコントロールしていくか、そのコントロールの方法にはお金がなくなる節税もあるということです。
「節税をする」とはどういう理屈でできるのか
節税をするということは、次の2つのパターンに分かれます。
① 利益を減らして税金を減らすパターン
利益が税金を掛ける基になる税法に効果的な節税です。
会社の利益=収益(売上など)-費用(仕入・給料・家賃など)-損失
通常は売上を下げるということはしないため、費用を大きくすることで会社の利益を圧縮することが節税につながるという理屈になります。
利益が大きくなればなるほど税金が高くなる税法は、具体的には、所得税・法人税・住民税が代表的な税目です。
② ものを購入することで税金を減らすパターン
経費になるものを購入することで利益を減らすというのが利益を減らす節税です。
こちらは、経費にならないものでも「ものを購入すること」で節税をするというものです。
具体的には消費税にはこの節税が効果的になります。
「対象となるもの」と「対象とならないもの」があるので、区分を間違うと全く節税にならないということになります。
お金が無くなる節税の問題点
上記の①の節税も②の節税も両方とも出費を伴うという点では共通です。
会社経営にはキャッシュが大切です。
それにもかかわらず、節税をするためには「ものを買う」必要があります。
経費になるものを買うか・経費にならないものを買うかの違いです。
経費になるものを買えば①と②の両方に節税効果が期待できます。
経費にならないものを買っている場合には②の節税に効果が期待できます。
しかし、お金は減ってしまいます。
ただ単に税金を減らす目的で出費を続けてしまうことにより、最低限の納税資金が無くなってしまったり、運転資金をショートさせるリスクが高くなります。
例えば、税率37%で100万円を節税したい場合
必要な経費の額=100万円÷37%
約270万円超の経費が必要
100万円の税金を節税しようと思うと、270万円の経費を作らなければ100万円の税金を抑えられないことになります。
会社の預金通帳から270万円がなくなるのです。
この経費が仕事上必要なものを購入したのであれば、翌期以後に経費の効果がでて売上が上がってくることになります。
しかし、不必要な経費を270万円使ってしまうと回収の見込みのない経費の無駄遣いになってしまいます。
期末仕入は節税にならないことが多い!
先ほどの例でいうと、270万円の経費を使うことで100万円の税金が節税できます。
決算月に270万円もの経費を使う、かつ、経営上無駄にならないものとなると非常に難しい判断が必要になります。
よくある間違いをお話しします。
それは、「仕入れ」です。
仕入は経費になります。
しかし、売れ残っているものは経費ではなく在庫ということになります。
例えば、決算月の最終日に仕入で270万円使ったとします。
ところが仕入れた270万円の商品が売れたのは翌期でした。
この場合、仕入れ270万円は今期の経費ではなくて、商品が実際に売れた翌期の売上になります。
この270万円の仕入れは、売れなければ節税にならないものだったということになってしまいます。
270万円のお金が無くなって、税金はの節税効果は0円となってしまいます。
結果として「270万円の在庫の支払い」+「納税100万円」=370万円の出費
資金繰りに大きな影響を及ぼしてしまいました。
お金が貯まる節税はあるのか?
節税をするには「利益を減らす」や「消費税の対象となるものを購入する」ことが一般的でした。
結局、「お金がなければ節税はできない」ということになります。
これはある意味で正解です。
税金のために不必要なものを購入したりするからお金が無くなる節税になるのです。
会社経営に効果的な節税でもお金を無駄にしない節税もあるのです。
例えば、
①家賃を1年分前払いする短期前払費用の特例
②生命保険に加入することで保障と節税を同時に行う節税
③従業員を雇用することで受けられる税額控除
これらは無駄な出費ではなく、会社にとって必要なものを上手に活用した節税事例です。
①・②は租税回避目的と認定されてしまった場合には、税務調査での否認という可能性もありますので注意が必要です。
まとめ
節税には「お金がなくなる節税」と「お金の溜まる節税」があります。
お金が溜まらない節税は経営上も効果の薄い節税になります。
お金が溜まる節税は将来への効率的な投資をしながら節税をすることができます。
決算直前の節税は高度な知識が必要になるので税理士事務所に相談してみましょう。