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資本金が大きければ大きいほど良い会社と思っていませんか?法人を設立を検討している方によくある疑問です。実際のところ資本金は何を意味しているのかを含めてみておきましょう。
資本金は大きければよいの?【法人設立の素朴な疑問】
資本金が大きい会社であれば安心と思って取引先の選定をしている経家者のかたも多いかもしれません。
大きな会社の資本金は驚くほど高額です。
資本金が大きい会社であれば、お金をたくさん持っているはずと思っている方もいらっしゃると思います。
そのため「自分が会社を設立する場合でも資本金を大きくした方がよいのでは?」と考える方もたくさんいらっしゃいます。
しかし、資本金とはどういうものなのかをしっかりと理解すると考え方が変わってきます。
一般消費者の方と経営者には資本金に対する見方も大きく異なっているのです。
資本金が大きければ安全と思っていると痛い目を見るかもしれません。
資本金とはどのようなものなのか
資本金とは「法人設立時の会社の固有の財産の金額を表したもの」のようなものです。
つまり、法人設立時の財産のうち他人に返済しなくてよいものは「いくら分あったのか」です。
出資者が「この財産を使って会社を大きくしてください」と託した金額をあらわしたものです。
上場会社以外の一般的な起業の場合には「出資者=取締役」になっているので、「自分のお金=会社のお金」と勘違いが起きてしまうのです。
細かく書くとより複雑になるので、一般的に自分たちで法人設立をする場合の資本金のイメージはこのようなものです。
会社の財産は様々なものから作られます。
預金が1,000万円あったとしても、「他人から借りたお金」なのか「返済する必要のない会社固有の財産」なのかに分かれます。
他人から借りたお金などは「負債」とよばれ、返済すべき期間が長期なのか短期なのかで負債の種類も分かれてきます。
「返済する必要のない会社固有の財産」というものには「資本金」というものと「利益剰余金」など過去の利益の積み重ねの2種類に分かれます。
この資本金は「登記」という制度によって対外的に知らされています。
資本金は株主が会社を大きくするために託した金額を表しています。
ここで重要なことがあります。
あくまでも株主が会社を大きくするために託した金額なのです。
もしかすると「託された金額」を使い果たしているかもしれないのです。
出資という手続きによって託された金額は「今までにいくらあったのか」の目安が「資本金」ということです。
大きな資本金の会社は安心というのは間違い
大きな資本金の会社であればたくさんの現預金をもっているから安泰と思うのは間違いです。
TVなどで大型倒産の話や、債務超過という話が出てきます。
「えっ!あの会社が倒産したの?」と思うこともあったと思います。
ごく最近では大手の旅行会社が倒産しました。
「TVコマーシャルもおこなっていたし、資本金はうちの会社よりもずっと大きかったのに・・・」と思われた方もいらっしゃるかもしれません。
過去には大手の証券会社も倒産しています。
資本金の大きな会社であっても倒産してしまうのです。
さきほどお話ししたとおり資本金は「株主が託した金額」の目安なのです。
そのときに手元にある現預金や財産の金額ではないのです。
資本金の大きな会社と取引していれば安心というのは一般の消費者目線になってしまいます。
悪くいうと資本金さえ大きく見えていれば、一般消費者は「信用してしまいやすい」のかもしれません。
経営者は資本金の金額だけで「安心して取引してよい会社ではない」ということをしっかりと理解しておきましょう。
個人事業や法人の経営者は「資本金至上主義」では経営失敗になってしまうので注意しましょう。
あくまでも会社の財務内容がよいか悪いかで判断すべきなのです。
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自分が法人設立する場合の資本金はどうしたらいいの?
自分が法人を設立する場合、資本金を無意味に大きくする必要はありません。
会社が倒産する原因は「資金ショート」です。
資本金が少なかったから倒産するわけではないのです。
法人設立をして運転資金を多くする方法は次の2つの方法があります。
①資本金として現預金を積む
②役員・親戚などからお金を借りる
③創業融資などで銀行や政策金融公庫から融資を受ける
大切なことなのでもう一度言います。
会社が倒産するのは「資金不足」に陥ったからです。
一般的な起業で資本金が小さかったから倒産したということは「ほぼありません」
法人設立の話で「いくらくらいの資本金を積めばいいの?」という場合、いくらでもよいというのが結論になります。
資本金は会社の財産になってしまうので、出資した人は自分の都合で返してもらうことができないので注意が必要です。
「運転資金の2か月~3か月を目安」とするとよいと思います。
見た目が気になる場合には、2~3か月の運転資金の端数を切り上げるなどして200万円や300万円という数字で良いと思います。
ただし、資本金は出資してしまうと簡単に払い戻すことができません。
出資した資本金は会社の固有の財産として会社を大きくすために使っていくことになるので、無理に大きな金額を出資しすぎないようにしてください。
設立時資本金が1,000万円以上になるといきなり消費税がかかる
一般的な法人設立の場合、資本金を1,000万円以上にしてしまうと設立年から消費税を納めることになります。
資本金要件やその他の消費税法上の規定にひっかからなければ2年間(2期)は消費税を納める必要がありません。
その間は資金繰りが非常に楽になります。
消費税は一度納税が発生すると一般的には数十万円から数百万円になります。
さらに経理に消費税の知識も必要になります。
税理士さんに依頼する決算も法人税などの申告に加えて消費税の申告も依頼しなければなりません。
できれば法人設立後2年間は消費税がかからない免税期間をいかしつつ、会社の体力をつけたいところです。
最近の消費税法は細かい規定が多くなっているので注意が必要です。
実際に法人設立をする際には事前に税理士さんに相談しておきましょう。
設立時資本金を1,000万円超にすると均等割りが高くなる
法人は赤字でも「均等割り」という税金がかかります。
この均等割りは資本金によって段階があります。
最も小さい範囲が資本金1,000万円以下です。
これを超えると赤字でもかかる均等割りが増えるので無意味に大きな資本金にするとデメリットだらけになります。
資本金を大きくしなければならない場合もある
無意味に資本金を高額にするとデメリットだらけなのですが、資本金を大きくしなければならない事情が発生する場合もあります。
例えば、建設業の許可が必要な場合などは資本金要件があります。(預金残高に代えることも可能)
このように許可関係で一定の資本金などが要件になっている場合には、資本金を高額にする必要があります。
まとめ
資本金が大きな会社だからといって健全経営をしているとは限りません。
資本金は出資者が会社のために使ってほしいと拠出した金額を表したものにすぎません。
資本金として出資したものは、貸したお金とは違い原則として返してもらうことはできません。
資本金を高額にしすぎると税務上デメリットが出ることがあるので注意しましょう。
法人設立前には税理士さんに相談しながら資本金も決めておきましょう。
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