飲食店に多い経理と税務の特徴とは【食事の社員割引は税金がかかるの?】
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飲食店を経営している個人事業主の方や法人は人材確保に苦慮されているところも多いと思います。人材確保の手段として社員優待割引や食事付きを謳って求人している飲食店も多いですね。飲食店は特有な経理や税務問題が起きるのでみておきましょう。
飲食店に多い経理と税務の特徴とは【食事の社員割引は税金がかかるの?】
飲食店には個人事業主の方と法人経営の方の両方がいらっしゃいます。
個人事業主で家族経営の方から法人経営で多店舗展開を行っている飲食店まで規模・形態は様々です。
飲食店は人材が重要な業種です。
さらに飲食店に携わる人数の多い業種ともいえます。
今回は飲食店の業種特性に特徴的な経理と税務についてみていきましょう。
飲食店経営は人材確保によって利益状況が大きく変わる業種
他の業種に比べて法人化しやすい業種とも考えられる業種が飲食店です。
その理由は社会保険の加入義務を考えると、他の業種よりも社会保険に加入する義務がある人数が少なくて済む可能性があるためです。
飲食店にはランチ・夜の2つの売上が大きくあがるポイントがあります。
ランチ時は主婦の方のパート・夜は学生のアルバイトに分けることで1人当たりの労働時間を短くしながら経営することができるためです。
1週間当たり30時間以上のパート・アルバイトでない限り社会保険の加入対象者になりません。
事務系の業種やサービス業の場合には短時間のパート・アルバイトの組み合わせで人材確保が難しい側面があります。
飲食店の場合には大きな売上の山がはっきりしているのでシフトの組み方を工夫することで人件費や人件費に付随するコストを抑えることができます。
人材の確保と人員配置によっては同じ飲食店でもコストのかかり方が大きく異なってしまいます。
同じ売上でも出すことができる利益に大きな差がでやすい業種です。
飲食店の人材確保に効果的な福利厚生【社員優待割引の経理と税務】
飲食店にいくとレジあたりに求人募集の張り紙などが貼ってあります。
その中で「社員優待割引」や「食事つき」というものがあります。
学生さんにとってはとてもうれしい福利厚生ですね。
この従業員割引や「まかない」は経理上・税務上どのように取り扱われるのかをしっかりと理解しておきましょう。
税務調査の際には人件費・福利厚生関係も細かくチェックされます。
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【社員割引・従業員割引と税務】
従業員さんや社員割引で食事を提供した場合は、その割引の度合いによって税務処理が異なります。
【原則】従業員割引は従業員さんに税金がかかる
・食事の材料費等-従業員の負担金額が従業員さんの給与になる
【非課税になる特例(福利厚生費になる場合)】従業員さんに税金がかからないケース
・次のすべての要件を満たした場合には、従業員さんに税金がかかりません。
①食事の材料費等×50%以上を従業員さんが負担している
②(食材費等-従業員負担金額)≦3,500円
※食材などの原材料費の50%以上を従業員さんが負担しており、従業員さんが得した金額が月額3,500円以下であれば給与課税がおこなわれません。
【給与課税されるときの経理】
①従業員負担分が0円の場合(全額給与課税の場合)
経理仕訳は不要です。
給与計算や年末調整の際には、材料費等の合計額が従業員さんの給与に加算されます。
材料費の合計額は会社側で1食あたりの原価を集計しておく必要があります。
実務的には非常に難しい部分になるので税理士さんに相談しておきましょう。
②「従業員さんの負担額が50%未満のケース」や「従業員さが得した部分が月3,500円を超えるケース」(一部が給与課税の場合)
従業員さんが負担した食費と給与課税する部分の2本の経理が必要になります。
(従業員負担分の経理)
・現金で負担分を徴収した場合:(現金)×××/(売上高)×××
・翌月払いの給料から天引きした場合:(未払費用)×××/(売上高)×××
・当月払いの給料から天引きした場合:(給料)×××/(売上高)×××
この売上部分は消費税の対象になります。
(経済的利益の課税部分の経理)
食事の材料費等の金額-従業員負担分が給与課税の対象になるケース
(給料)×××/(材料仕入)×××
経理処理を省くこともあります。
ただし、給与計算の際や年末調整の際にはこの部分を給与に加算して計算してください。
従業員さんが得した部分が非課税となる場合【給与課税されないケース】
次の①と②の両方を満たしたケース
①従業員負担が50%以上
②食材費等-従業員負担額が月3,500円以下
・現金で負担分を徴収した場合:(現金)×××/(売上高)×××
・翌月払いの給料から天引きした場合:(未払費用)×××/(売上高)×××
・当月払いの給料から天引きした場合:(給料)×××/(売上高)×××
従業員負担分は売上として計上していきます。
消費税についても課税売上として消費税対象になるので注意しましょう。
まとめ
飲食店の人材確保に食事の無償支給や従業員割引は効果的です。
ただし、飲食店を経営している個人事業主や法人の方が「良かれと思って」従業員さんに食事を出すと税金問題が発生します。
税務調査の際に食事の支給についての指摘がおこなわれた場合、源泉所得税の徴収漏れも併せて指摘されてしまうので注意しましょう。
食事代は原材料費など直接食事に係る経費を集計して評価することになるので実務上非常に困難になります。
1食あたりの評価の仕方などは税理士さんに相談しておきましょう。
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