社会保険料の負担に耐えられないときの個人戻り【個人事業成り】

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会社設立をして株式会社や合同会社をつくると社会保険加入義務が発生します。社長一人でも社会保険に加入しなければならないのです。実質的に人件費が高騰するという負担に耐えられない会社も多いのです。そんなときに個人事業に戻すこともあるので個人戻りを見ておきましょう。

社会保険料の負担に耐えられないときの個人戻り【個人事業成り】

個人事業主が会社設立をして法人になることを法人成りといいます。

逆に法人を個人事業に戻すことは明確な表現がありません。

今回は便宜的に「個人戻り」や「個人成り」という言葉を使っていきます。

個人事業を法人成りさせるときには将来的に売上が上がる予定があったり、経営者の年齢が若い時に起こりやすくなります。

従業員数もそれほど多くなく、事業的には割と好調というケースです。

これ以外にも個人事業を法人化する理由に消費税の節税を理由に考える人もいます。

会社設立をして法人化していた人でも、常に業績が良いわけではありません。

社会情勢の変化や国の政策の変化によって思わぬコストアップもあり得ます。

社会保険料の増加や加入範囲の拡大によっては、今まで法人で経営できていた会社が負担に耐えられなくなることも起きてきます。

法人として経営することでコストが大きくなる場合には、個人事業に戻って経営をスリム化することも効果的です。

社会保険料は思っているよりもダメージが大きい【エンドレスに発生する経費】

会社経営者にとって頭の痛い問題は社会保険料が高いということです。

従業員さんへの福利厚生や求人をする上で社会保険の加入はあった方が良いことは事実です。

しかし、会社の負担が大きすぎて経営が立ち行かなくなることは本末転倒になってしまいます。

社会保険料の率は次の通りです。(東京都の場合)

①全国健康保険協会管掌健康保険料:9.91%(介護保険第2号被保険者に該当する場合:11.56%)

②厚生年金保険料:18.3%

③①+②=28.21%(介護保険第2号被保険者に該当する場合29.86%)

従業員さんと会社側で折半になるので、それぞれの負担はこの半分となります。

人を雇用することで従業員さんへのお給料が増えるだけではなく、社会保険料も含めたところが人件費ということです。

従業員さんの生活を考えると「給与手取り」で考えてあげたくなりますが、これは危険です。

手取りで給与を約束してしまうと、社会保険料の28.21%も会社が負担することになってしまいます。

そうなってしまうと、人件費は1.3倍払わなければならないことになってしまいます。

社会保険に事業所が加入すると、対象者がいる限りずっと発生し続ける経費になります。

銀行借り入れなどは返済が終わると資金繰りは楽になりますが、税金や社会保険料はずっと湧き続けるため会社の体力を奪っていきます。

景気の良い局面であれば気にならない固定費も業況が思わしくなると「ずっしりと負担を感じる」ことになります。

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法人を個人事業に戻すときに税務署とのトラブルの可能性は?【手続きをしっかりすることが重要】

名義だけを個人にして税務申告をして請求書や領収書などは法人のものを使っていれば租税回避と考えられます。

実質的には法人だけども、申告形態だけが個人事業主ということになっているためです。

これは脱税の疑義もあるので税務署も黙っていません。

しかし、社会保険料の負担に耐えられずに個人事業に手続きをして戻すこと自体は違法ではありません。

ただし、従業員の人数によっては個人事業に戻しても社会保険の適用事業所になることもあるので注意してください。

株式会社・合同会社などの法人から個人事業主に戻す手続き

法人を個人事業戻り(個人成り)をする具体的な手続きを見ておきましょう。

①法人の解散登記をおこなう

②個人事業の開業届・青色申告の承認申請書など税務書類の提出

③法人解散後は個人事業で経理・税務申告を行う

④法人の精算決了登記をおこなう

個人戻り(個人成り)の場合の税務上の注意点

法人から個人事業主に戻る場合に税務上の問題が起きないよう注意が必要です。

①在庫商品の法人から個人事業に対する譲渡

商品在庫を個人が買い取る金額が低すぎないように注意しましょう。

②車両など法人所有資産の個人事業への譲渡

資産の貸し付けという形式も取れますが、法人を存続させている必要があります。

法人側でもらった賃料収入は法人税の対象になってしまいます。

③取引先関係の契約・決済の変更

取引契約などは改めて個人との契約が必要になります。

支払関係の口座も法人口座を使うわけにもいかないので、個人口座を開設して決済していきます。

④法人決算(解散による税務申告と精算決了による税務申告)

法人を解散・清算するためには登記だけではなく、税務申告が必要になります。

その際に法人税や消費税などまとまった納税が出るケースがあります。

まとめ【個人戻り(個人成り)は税理士さんに相談することが重要】

法人を個人事業に戻す場合には、税務的な手続きと登記など法律的な手続きが必要になってきます。

業務の清算に関しても金額決定などたくさんの事務手続きが必要になります。

税理士さんに相談することによって、必要な専門家との連携や税務申告までお願いすることができます。

自分で行ってしまうと後日の税務調査や社会保険問題などで対応することが難しくなるので注意しましょう。

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