スポンサーリンク

「今期は大きな利益が出た。会社の成長に貢献してくれた役員たち、そして社長自身にも、正当なボーナス(賞与)を支給したい!」
経営者であれば、そう考えるのは当然のことです。しかし、その純粋な想いが、税務の知識不足によって、「ただの無駄遣い(損金不算入)」に終わってしまうケースが後を絶ちません。
この記事を読めば、すべて解決します
この記事では、役員賞与を経費として税務署に認めさせるための唯一の方法「事前確定届出給与」について、具体的な手続きを3つのステップに分解し、誰でも実践できる完全マニュアルとして解説します。
スポンサーリンク
なぜ、社長のボーナスは原則経費にならないのか?
まず大前提として、従業員の賞与とは異なり、役員賞与は原則として経費(損金)に算入できません。これは、経営者が利益を見てから賞与の額を決め、法人税を不当に操作することを防ぐためです。この大原則を定めているのが、法人税法第34条です。
しかし、この法律にはたった一つだけ、役員賞与を経費として認めるための「公式ルート」が用意されています。それが「事前確定届出給与」制度です。
【完全マニュアル】役員賞与を経費にするための3ステップ
ここからは、役員賞与を経費にするための具体的な手続きを3つのステップで見ていきましょう。この手順を一つでも間違えると、全額が経費にならなくなるので注意してください。
「いつ、誰に、いくら払うか」を会議で決める
まず、株主総会や取締役会で、賞与を支給する「日付」「対象者」「金額」を具体的に確定させます。「業績が良かったら払う」といった曖昧な決め方は認められません。そして、その証拠として必ず議事録を作成し、保管しておきます。
【ケーススタディ】
3月決算の「株式会社FUNBUSI」は、6月25日の定時株主総会で、以下の内容を決議した。
・支給対象者:代表取締役 田中健一
・支給日:12月15日
・支給額:2,000,000円
税務署へ「届出書」を提出する
ステップ1で決議した内容を、「事前確定届出給与に関する届出書」という書類に記載し、管轄の税務署へ提出します。この提出期限が最も重要です。
【提出期限のルール】
原則として、以下のいずれか早い日が提出期限となります。
A:株主総会などで決議した日から1ヶ月後
B:その会計期間が始まってから4ヶ月後
【ケーススタディ続き】
「株式会社FUNBUSI」の場合、A(決議日6/25の1ヶ月後=7/25)とB(会計期間開始4/1から4ヶ月後=7/31)を比べ、早い方である7月25日までに届出書を提出する必要があります。
届出通りに、1円も1日も間違えずに支給する
届出書を提出したら、あとはその内容と寸分違わず実行するだけです。しかし、これが最後の落とし穴。1円でも金額が違ったり、1日でも支払日がズレたりすると、支払った全額が経費として認められません。
【ケーススタディ結末】
12月15日当日、「株式会社FUNBUSI」は田中社長に200万円を支給。上記3ステップを完璧に実行したため、この200万円は全額が会社の経費(損金)として認められました。もし届出を忘れていれば、約60万円の余計な税金を払うことになっていたでしょう。
【参考条文】法人税法 第三十四条 第一項 第二号
その役員の職務につき所定の時期に確定額を支給する旨の定めに基づいて支給する給与(定期同額給与及び利益連動給与を除く。)で、政令で定めるところにより納税地の所轄税務署長にその定めの内容に関する届出をしているもの
スポンサーリンク
この記事のまとめ
- ✅ 役員賞与を経費にするには「事前確定届出給与」の手続きが必須。
- ✅ 「①決議 → ②届出 → ③実行」の3ステップを完璧に行う必要がある。
- ✅ 特に「届出の提出期限」と「届出通りの日付・金額」は厳守。
次のステップへ:あなたの会社を成長させるパートナー選び
この手続きは非常に厳格で、一つ間違えるだけで数百万円の損失に繋がる可能性があります。だからこそ、手続きを正確に実行し、さらに先の経営戦略まで見据えてアドバイスをくれるパートナーの存在が不可欠です。
単に手続きを代行するだけでなく、あなたの会社の成長を共に考えてくれる「経営コンサル型税理士」をパートナーに選び、大切な資金を会社の未来のために有効活用してください。
【免責事項】
当サイトは、専門家の監修のもと情報を提供しておりますが、記事作成時点の法令や情報に基づいています。万全を期しておりますが、その内容の正確性や安全性を保証するものではありません。また、特定の個人や組織の状況に適用できるものではない可能性があります。
実際の税務判断や経営判断にあたっては、必ず税理士などの専門家にご相談の上、ご自身の責任において行っていただきますようお願い申し上げます。