【税務調査官はココを見る!】社長、その食事は「交際費」?それとも「会議費」?運命を分ける5,000円の壁

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先日、A社長は大切な取引先のB社を接待し、一人あたり8,000円の会食をしました。経理担当のCさんから後日こう質問されます。「社長、この食事代は『交際費』で処理しますか?それとも『会議費』ですか?」

A社長は少し戸惑いながら答えました。「うーん、仕事の話もしたし、会議費でいいんじゃないか?」

実は、このA社長の**「なんとなく」の判断**が、将来の税務調査で大きな指摘を受ける火種になるかもしれません。飲食代が「交際費」になるか「会議費」になるか、その境界線を知らないことは、経営において非常に危険なことなのです。

なぜ、税務署は食事代にこれほど厳しいのか?

税務署が恐れているのは、社長や役員のプライベートな飲食代が、会社の経費として計上されることです。それを防ぐため、法律で厳格なルールを定めています。この記事では、そのルールを誰にでも分かるように解説し、あなたの会社を不要な税務リスクから守ります。

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運命の分岐点:「一人あたり5,000円」の壁

飲食代が「交際費」になるか、それとも全額経費にできる「会議費」になるか。その運命を分ける最大のポイントが、「一人あたり5,000円以下かどうか」です。これは、法律(租税特別措置法)で定められた明確な基準です。

全額経費の「会議費」にするための3つの絶対条件

一人あたり5,000円以下の飲食費を、全額経費にできる「会議費」として処理するためには、以下の3つの条件をすべて満たし、それを証明する書類を残しておく必要があります。

  • 条件1:一人あたりの飲食代が5,000円(税抜)以下であること。
  • 条件2:社内の役員や従業員だけでなく、社外の取引先などが1名以上参加していること。
  • 条件3:「①飲食店の名前」「②年月日」「③参加者の氏名と関係」「④参加人数」「⑤金額」を書類(領収書の裏など)に必ず記録しておくこと。

【ケーススタディ】

A社長が、取引先のB社2名と、自社の社員1名(計4名)で会食。合計金額は19,800円(税込)だった。この場合、税抜金額は18,000円。一人あたりは18,000円÷4名=4,500円となり、5,000円以下のため「会議費」として全額経費にできる。ただし、領収書に参加者の名前などを記録しておくことが絶対条件となる。

【参考条文】租税特別措置法関係通達61の4(1)−23

法第61条の4第3項第2号に規定する「飲食その他これに類する行為のために要する費用」とは、専ら法人の役員若しくは従業員又はこれらの親族に対する接待等のために支出するものを除くものとし、一人当たりの費用の金額が5,000円以下であるかどうかの判定は、法人が指定した費用について、飲食等のために要する費用の額を飲食等に参加した者の数で除して計算した金額により行う。

5,000円を超えたらどうなる?「交際費」のルール

では、冒頭のA社長のケースのように、一人あたり8,000円で5,000円を超えてしまった場合はどうなるのでしょうか。この場合、その飲食代は「交際費」となります。

「交際費」になると、原則として経費(損金)にはなりませんが、中小企業(資本金1億円以下)には、以下のいずれか有利な方を選べる特例が用意されています。

中小企業が使える2つの特例

  • 🅰️ 年間800万円までの交際費を、全額経費にする。
  • 🅱️ 交際費のうち、飲食代の50%を経費にする。

年間の交際費(飲食代)が1,600万円を超えない限りは、ほとんどの場合で🅰️の「800万円まで」のルールを使った方が有利になります。

【注意点】

冒頭のA社長のケース(8,000円の会食)は、この800万円の枠の中から経費として処理することになります。もし年間の交際費が800万円を超えていれば、その会食代は経費として認められない、ということになります。

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この記事のまとめ

  • 取引先との食事代は「一人あたり5,000円(税抜)以下」なら全額経費(会議費)にできる。
  • 5,000円以下にするには、参加者の名前などを領収書に記録しておくことが絶対条件。
  • 5,000円を超えたら「交際費」となり、中小企業は年間800万円までの経費枠を使うことになる。
  • 社内だけの飲み会は、原則として「社内飲食費」となり、5,000円基準の対象外。

社長、あなたは一人で悩んでいませんか?

領収書の山を前に、「これは経費になるのか…?」と一人で頭を悩ませる。その時間は、経営者にとって本当に勿体無い時間です。本来、あなたはもっと未来の事業展開や、社員の幸せについて考えるべきなのですから。

日々の些細な経費の悩みから、会社の大きな節税戦略まで。いつでも気軽に相談でき、あなたの会社の成長を共に考えてくれるパートナーがいます。

ぜひ、単なる記帳代行業者ではない、「経営コンサル型税理士」という頼れる右腕を探してみてください。きっと、あなたのビジネスはもっと加速するはずです。

この記事が、頑張るあなたの一助となれば幸いです。またいつでも、ここに戻ってきてくださいね。


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実際の税務判断や経営判断にあっては、必ず税理士などの専門家にご相談の上、ご自身の責任において行っていただきますようお願い申し上げます。

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