【社長も社員も得をする節税】日当2万円も夢じゃない?税務署に認められる「出張旅費規程」完全作成マニュアル

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A社長は、大阪への1泊2日の出張から戻り、新幹線代とホテル代の実費28,000円を経理担当者に提出し、精算しました。一方、同業者のB社長も同じような出張に行きましたが、経費精算の額は50,000円。その差額22,000円は、B社長が会社から受け取った「出張手当(日当)」でした。

しかも、驚くべきことに、この22,000円は会社の経費(損金)になり、B社長個人の所得税や住民税は一切かからない**「非課税」のお金**だというのです。

同じ出張なのに、なぜこんな差が生まれるのでしょうか? A社長の会社に無くて、B社長の会社には有るもの。それは、たった一つの社内ルールブック、「出張旅費規程」でした。

この記事で、あなたの会社も「得する側」に変わります

この記事では、税務署も認める最強の節税策の一つ「出張旅費規程」について、その法的根拠から、具体的な規程の作り方、運用の注意点までを、誰でも実践できる完全マニュアルとして徹底解説します。

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なぜ「出張手当」は非課税になるのか?

出張手当(日当)が非課税となる根拠は、所得税法に定められています。法律は「給与所得者が勤務場所を離れて旅行した場合に、その旅行について実費弁償として支給される金品は非課税とする」と定めているのです。

ここでいう「実費弁償」とは、交通費や宿泊費といった実費そのものに加え、「出張中の食事代や細々とした諸経費を補填するためのお金」も含まれます。この部分が、一般的に「日当」や「出張手当」と呼ばれるものです。

そして、「いくらが妥当な実費弁償なのか?」を会社として客観的に示すための証拠書類が、「出張旅費規程」なのです。

【参考条文】所得税法 第九条(非課税所得)第一項 第四号

給与所得を有する者で勤務する場所を離れてその職務を遂行するため旅行をし、若しくは転任に伴う転居のための旅行をしたもの又は就職若しくは退職をした者若しくは死亡による退職をした者の遺族でこれらの者の退職若しくは死亡に伴い旅行をしたものがその旅行に必要な支出に充てるため支給される金品で、その旅行について通常必要であると認められるもの

【完全マニュアル】出張旅費規程の作り方4ステップ

では、税務署に認められる規程はどのように作れば良いのでしょうか。最低限、以下の4つのステップで必要な項目を定めましょう。

ステップ1

目的と適用範囲を決める

まず、規程の第1条として「この規程は、役員及び従業員の出張に関する手続きと旅費の支給について定める」といった目的を記載します。そして、対象者(全役員・従業員など)や、「出張」の定義(例:自宅から目的地まで片道100km以上など)を明確にします。

ステップ2

旅費の種類と金額を決める(最重要)

規程の核心部分です。「日当」「宿泊費」「交通費」などを定義し、役職ごとに金額を設定します。金額は、「社会通念上相当と認められる範囲」であることが絶対条件です。

【金額設定の目安】

法律に明確な上限額はありませんが、金額の妥当性を判断する上で、**「国家公務員の旅費基準」**や民間の調査データが重要な参考になります。例えば、国家公務員の日当は概ね2,000円台、宿泊費は11,000円前後が一つの基準です。

これらを「絶対安全圏」の最低ラインとしつつ、中小企業が節税効果も考慮して実務上設定する金額としては、企業の規模や出張の性質に応じて、以下の範囲が「社会通念上、相当」と判断されやすい一つの目安となります。

【実務上の金額目安】

  • 日当(1日あたり): 役員 8,000円~15,000円 / 一般社員 4,000円~6,000円
  • 宿泊費(1泊あたり): 役員 12,000円~20,000円 / 一般社員 8,000円~12,000円

ただし、最も重要なのは、これらの金額をなぜ「通常必要」と考えたのか、その根拠を会社として説明できることです。必ず専門家である税理士と相談の上、自社の実態に合った規程を作成してください。

ステップ3

申請と精算のルールを決める

出張に行く前の「出張旅費仮払申請書」や、戻ってきた後の「出張報告書兼旅費精算書」といった、社内手続きのルールを定めます。規程が形式だけでなく、実際に正しく運用されていることを示すために重要です。

ステップ4

株主総会や取締役会で承認を得る

作成した規程は、必ず株主総会や取締役会で承認を受け、その証拠として議事録を保管しておきましょう。これが、規程が正式な社内ルールであることの証明になります。

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この記事のまとめ

  • **「出張旅費規程」**を定めれば、会社は経費(損金)を増やせ、役員・社員は非課税の手当を受け取れる。
  • 日当や宿泊費は、社会的に見て妥当な金額に設定することが絶対条件。
  • 規程を作成し、議事録を保管し、申請・精算のルール通りに運用することが重要。
  • 実費精算しかしていない会社は、大きな節税のチャンスを逃している可能性がある。

その出張の「疲れ」を、正当な「手当」に

社長、あなたは会社の未来のために、慣れない土地へ飛び、頭を下げ、神経をすり減らして仕事をしています。出張は、決して楽なものではありません。その労力に、会社として正当な形で報いる。それは社員のモチベーションを高め、会社の成長を加速させる素晴らしい投資です。

「うちの会社に合った規程はどう作ればいい?」「この金額は、税務署に否認されないだろうか?」そんな不安は、ぜひ専門家と共に解決してください。

優れた「経営コンサル型税理士」は、あなたの会社の規模や実態に合わせた、税務リスクのない最適な出張旅費規程の作成をサポートしてくれます。

会社のルールを一つ整備するだけで、未来のキャッシュフローは大きく変わります。私たちは、いつでもあなたの学びと挑戦を心から応援しています。


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実際の税務判断や経営判断にあっては、必ず税理士などの専門家にご相談の上、ご自身の責任において行っていただきますようお願い申し上げます。

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