【利益は出ているのに…】なぜあなたの会社のお金はいつも足りないのか?「黒字倒産」を防ぐ資金繰りの鉄則

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月末。試算表を眺めると、今月も売上は好調で、しっかりと利益が出ている。しかし、A社長の表情は晴れません。手元の預金通帳の残高は、来月の社員の給料や買掛金の支払いを考えると、お世辞にも十分とは言えないからです。

「帳簿の上では儲かっているはずなのに、なぜ、うちの会社のお金はいつもギリギリなんだ…?」

この感覚、多くの経営者が一度は経験する、恐ろしく、そして根深い問題です。そしてこの問題こそが、利益が出ていても会社が潰れてしまう**「黒字倒産」**という、最も悲しい結末の入口なのです。

その「なぜ?」に、この記事が明確に答えます

この記事では、会社の血液である「お金(キャッシュ)」の流れを正しく理解し、「利益は出ているのにお金がない」という状態から脱出するための鉄則を、世界一分かりやすく解説します。

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大原則:「利益」と「手元のお金」はまったくの別物

まず、すべての経営者が心に刻むべき大原則があります。それは、会計上の**「利益」と、実際に会社にある「お金(キャッシュ)」はイコールではない**、ということです。

例えるなら、こういうことです。

  • 📈 利益とは… 取引が成立した時点での「約束された得点」
  • 💰 お金とは… 実際に銀行口座にある「手の中のボール」

いくら「100点取る約束」をしていても、手元にボールがなければ、次のプレーはできませんよね。会社も同じで、利益という「約束」だけでは、給料も家賃も払えないのです。

お金が消える!?資金繰りが悪化する3大原因

では、なぜ利益と手元のお金にズレが生まれるのでしょうか。その主な原因は、以下の3つです。

原因1

売上のお金が入ってくるのが「遅い」(売掛金)

商品を販売したり、サービスを提供しても、その代金がすぐに入金されるとは限りません。「月末締め、翌々月末払い」といった取引の場合、売上が利益として計上されてから、実際にお金が手元に入るまで2ヶ月ものタイムラグが発生します。この間も、社員の給料や仕入代金の支払いは待ってくれません。

原因2

売れる前の商品がお金として「眠っている」(在庫)

商品を仕入れた時点で、会社のお金は「在庫」という資産に姿を変えます。帳簿上は資産でも、それが売れて現金化されるまでは、ただ倉庫で眠っているだけのお金です。過剰な在庫は、資金繰りを圧迫する大きな要因となります。

原因3

経費にならない「お金の支出」がある(借入金返済など)

銀行からの借入金の返済のうち、「元金」の部分は経費にはなりません。そのため、利益計算には影響しませんが、会社のお金は確実に減っていきます。これが、利益が出ているのに手元にお金が残らない大きな理由の一つです。

資金繰り改善の第一歩:「資金繰り表」を作ってみよう

では、どうすればこの不安な状況から脱出できるのでしょうか。その第一歩は、**「資金繰り表」**を作成し、お金の流れを「見える化」することです。

これは、家計簿の会社版のようなもので、未来のお金の出入りを予測する「会社の天気予報」です。これがあれば、「3ヶ月後にお金が足りなくなりそうだ」といった危険を事前に察知し、対策を打つことができます。

【超シンプルな資金繰り表の作り方】

難しく考える必要はありません。まずはExcelで、以下のような表を作ってみましょう。
1. 前月の繰越現金:前の月の終わりにいくらお金が残っていたか
2. 今月の現金収入:売掛金の入金など、今月入ってくるお金の合計
3. 今月の現金支出:仕入代金、人件費、家賃、借入金返済など、今月出ていくお金の合計
4. 翌月の繰越現金:「1 + 2 – 3」の結果

これを3ヶ月先、6ヶ月先まで予測することで、会社の未来の金庫の中身が見えてきます。

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この記事のまとめ

  • 会計上の「利益」と手元にある「お金」は全くの別物だと心得る。
  • お金が足りなくなる主な原因は「入金の遅れ」「過剰在庫」「借入金返済」
  • まずはシンプルな「資金繰り表」を作り、未来のお金の流れを見える化する。
  • 黒字倒産は、お金の流れを軽視した結果起こる、最も避けたい悲劇。

社長、その重荷を一人で背負わないでください

社長、あなたは毎日、売上を上げ、利益を出すために身を粉にして奮闘されています。その尊い努力の結晶である会社を、「お金が足りない」という理由だけで失うことほど、悔しく、悲しいことはありません。

資金繰りの悩みは、会社の規模に関わらず、すべての経営者が抱える重圧です。しかし、それを一人で抱え込む必要はないのです。

優れた「経営コンサル型税理士」は、過去の数字を整理するだけでなく、未来のお金の流れを予測する「資金繰り表」の作成をサポートし、銀行融資の相談にも乗ってくれる、あなたの会社の「最高財務責任者(CFO)」のような存在です。

あなたの情熱を、お金の心配ではなく、未来の夢の実現に向けてください。私たちは、いつでもあなたの学びと挑戦を心から応援しています。


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