理美容室の確定申告対策と税務調査~プロっぽい申告書~

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個人事業で自分で経理や確定申告書の作成をしている方もおおいはず。しかし、美容師さんが自分で経理をしたり確定申告書をつくる場合には注意が必要です。すぐに素人が作ったものとバレてしまう可能性があるのです!

理美容室の確定申告対策と税務調査~プロっぽい申告書~

理美容室は法人として経営している人ばかりではありません。

たくさんの個人事業の理美容室があります。

多くの個人事業の美容室が自分で経理と確定申告をしているのです。

具体的に個人事業と法人の美容室の割合を見てみましょう。

(厚生労働省平成17年データ)

◎調査対象美容室の総数 530件:約7割弱が個人事業

うち 個人経営美容室数 359件(67.3%)

うち 法人経営美容室数 170件(32%)

◎調査対象理容室の総数 573件:約9割弱が個人事業

うち 個人経営理容室数 499件(87%)

うち 法人経営理容室数 72件(12.6%)

このように、美容室も理容室(床屋)も半数以上が個人事業です。

とくに理容室に関しては約9割弱が個人事業として経営しているということです。

個人事業の理美容室は当然2月16日~3月15日の期間で個人事業の確定申告を行う必要があります。

経理と税務のプロの税理士事務所に依頼していれば安心感も高いのですが、個人事業の理美容室で税理士事務所に依頼していないところも相当割合あると思います。

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なぜ個人事業の理美容室は税理士事務所に依頼しないのか?

個人事業といえども商売をしている人にとって税務署の税務調査は怖いものです。

悪いことをしているつもりはなくても、「税務署」「税務調査」と聞くと苦手意識をもっている経営者が非常に多いのです。

個人事業をしていればいつ税務調査がやってきても不思議ではありません。

税務調査でみられるものは領収書や請求書と帳簿書類もしっかりと調査されます。

そうなると帳簿書類の作成がいかに重要なものかがわかってきます。

それなのに個人事業の理美容室の中には経理や税金のプロの税理士に依頼していない方もたくさんいらっしゃいます。

税務上のリスクが高くなるにもかかわらず、理美容室の個人事業の方は法人の理美容室の方に比べて税理士依頼率が低くなっている理由はなぜでしょう?

1:個人事業の理美容室に税務調査は来ないと思っている

個人事業の理容室や美容室でもしっかりと経理をしていかなければなりません。

なぜなら平成26年1月から白色申告の場合でも帳簿の作成義務ができたからです。

このような改正が行われたことを知らない個人の理美容室が、昔ながら適当でも大丈夫と思い続けている人がいるかもしれません。

しかし法律はしっかりと改正されているので帳簿をつけていなければ法律違反ということになります。

規模に関係なく帳簿をつける義務があるわけですから税務調査の際にもしっかりと帳簿の提出が求められるのです。

税務調査の当日には、当然領収書と帳簿の内容が合っているかをチェックされます。

2:個人事業の理美容室は税理士に頼んでも頼まなくても同じだと思っている

理美容室に限ったことではないのですが、個人事業の方は自分で完璧な確定申告ができていると思っていることがあります。

市販の会計ソフトを購入すると誰でも簡単に帳簿がつけられます。

領収書をもとに簡単に経理ができるのです。

しかし、その領収書経費で落とせるものですか?

この判断を会計ソフトはしてくれません。

そのため、いざ税務調査となった場合に「経費として認められませんね」という調査官の一言に落胆してしまうのです。

自分の判断にどれくらいの税務調査リスクが含まれているかをよく知らないまま経理処理だけをしてしまう結果になってしまいます。

税理士事務所に依頼するということは、税務調査経験もあり、様々な業種に精通しているアドバイザーを低価格でパートナーにできるメリットがあるのです。

3:税理士事務所は高いと思っている

人によって高い・安いの感覚は様々です。

一般的に税理士の顧問料は個人事業の場合は毎月2万円~3万円くらい・法人の場合には毎月3万円~5万円くらいでしょう。

インターネットで検索すると低価格の税理士事務所広告も見受けられますが、オプションをつけていくとそこそこの金額になると思います。

この税理士顧問料を高いと感じて税理士を頼まない方がいらっしゃいます。

税理士がいると以内では税務調査の内容は大きく変わる可能性があります。

税務調査の際に、調査官が何を意図して質問をしているのかがわからないで適当な回答をすると痛い目に遭います。

税務調査の立ち合い経験のある税理士が立ち会った場合、調査官が何に目をつけているのか・何を意図して質問をしているのかを察知してくれます。

その税理士のカンと経験にもよりますが・・・・・。

税務調査の怖いところは最低3年分の確定申告内容をチェックされることです。

その税務調査時に売上の漏れがあれば最大7年間ということもあります。

確定申告で1年分の所得税・住民税・健康保険を払うのもなかなか大変です。

これが最大7年分の税金と健康保険を払わなければならなくなるリスクが常にあるのです。

このリスクと税理士に依頼する顧問料を天秤にかけてみて高いと感じるかどうかです。

確定申告

プロっぽい確定申告の対策:自分でもできるきれいな確定申告

絶対に税理士に依頼しなければならないというわけではないので、自分でできるプロっぽい確定申告対策を見ていきましょう。

素人とプロの違いは青色申告と白色申告にあります。

プロは青色申告で65万円控除を行います。

素人は白色申告か青色申告の10万円控除を使います。

なぜ青色申告特別控除が小さい10万円を使ってしまうのでしょう?

これは帳簿が簡単だからです。

お金の出入りだけを会計ソフトに入力するとこのようなことが起きてしまいます。

ただ、これでは青色申告特別控除の65万円が取れません。

65万円の青色申告特別控除控除を受けるには「複式簿記」というきちんとした簿記の知識が必要になります。

青色申告特別控除の65万円を上手に活用できていればプロっぽい確定申告になります。

65万円の青色申告特別控除のポイント1:簿記の勘定科目は最低限のものを理解しておく

会計ソフトには取引を選ぶと簡単に仕訳(帳簿入力)してくれる機能があります。

しかし、簿記の勘定科目というものを知らないと使えない可能性があります。

そこで最低限次の勘定科目を覚えておきましょう。

①売掛金:ツケで売ったもので、そのお金をもらう権利のことを売掛金といいます

②買掛金:ツケで仕入れたもので、その支払わなければならないものを買掛金といいます。

③未払金:モノやサービスを購入して支払いをしていないものにたいする、支配義務のあるものを未払金といいます。

※買掛金と未払金の違いは、メインの商品や材料の仕入れに関するものは買掛金・それ以外は未払金という区分でもある程度OKです。

クレジットカードを使って購入した場合には、原則として未払金をつかいます。

④売上高:商品やサービスを売った時の収益

⑤仕入高:商品や材料を仕入れたときの費用

⑥給料手当:お給料が発生したときの経費

※お給料は月末締め・翌月払いという場合もあります。

お給料の経費の発生と支払いがずれる場合には、次のようになります。

発生時:(給料手当)/(未払費用)××

支払時:(未払費用)/(普通預金または現金)××

⑦消耗品費:事務用品や10万円以下の消耗品を購入した費用

これ以外にも様々な科目がありますが、最初はわかる科目を中心に使っていきましょう。

65万円の青色申告特別控除のポイント2:会計ソフトを上手に活用する

会計ソフトを使わなければ65万円の青色申告特別控除を使うことは困難です。

まずは会計ソフトを上手に使って効率的に複式簿記を自動的に作っていきましょう。

青色申告特別控除の65万円を取るために大切なことは、次の科目の残高をしっかりと合わせることです。

残高を合わせるとは、次のことをいいます。

①現金:実際にある事業用現金の手元金額に合わせる

②普通預金:預金通帳の預金残高を通帳に合わせる

③売掛金:請求して未入金の金額に合わせる

④買掛金:得意先からきている請求書の請求残高に合わせる

⑤未払金:請求書の請求残高に合わせる

※クレジットカードなどは締め日での請求残高と合っているか確認

65万円の青色申告特別控除のポイント3:家事否認をおこなう

「家事否認とはなんだ?」と思われる方もいると思います。

家事否認とは事業と個人の生活にまたがるもののうち、個人部分を経費から外すことをいいます。

難しい説明なので具体例をみていきましょう。

自宅とお店がくっついている場合(店舗併用住宅といいます)

①電気代・ガス代・灯油代・水道代が共通引落

②固定資産税が建物全体に対してかかるので共通

③洗濯機で店のタオルと自宅の洗濯物を洗っている

このようにお店で事業用のものと、個人としての生活が重なる部分がでてきます。

いったん経費として全体を処理しておいてから個人部分を経費から外すことが必要になります。

家事否認の方法は、原則として実際の家事使用割合で経費から外すことになります。

実際には事業の割合の算定が難しいため、

①営業日数による割合

②床面積による割合

③使用距離による割合

家事否認をしていない確定申告の場合、「プライベートなものも全額経費で落としているのかな?」と疑われてしまいます。

とくに自家用自動車と事業用の自動車が共通になっている場合には注意が必要です。

まとめ

プロっぽい確定申告を行うには、最低限必要な知識があります。

簿記について全く知らないという場合には、プロっぽい確定申告は難しくなります。

もし確定申告について不安という場合には、税理士さんに一度相談してみてはいかがでしょうか?

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